英語を活かして働けるシップナースってどんな仕事なんだろう?
日本と海外の会社のそれぞれについて解説するよ!
こんな人におすすめ
- シップナースについて知りたい
- 英語を使って看護師として働きたい
- 世界中を旅行したい
看護師として働きながら、世界中を旅できたらいいなーなんて思いませんか?
それを実現できるのがシップナースです。
レアな仕事ではありますが、英語を使って看護ができる挑戦しがいのある仕事です。
クルーズ船で働くシップナースとは
シップナースとは、クルーズ船の医務室に勤務する看護師のことです。
クルーズ船の周遊は、数日から数ヶ月にも及び、中には体調を崩す人も出てきます。
そこで船内の医師と共に、船で旅をする人たちと船員の健康管理やケアをする役割を担っています。
クルーズ船とは:宿泊施設やレストラン・映画館やカジノなどの娯楽施設を備えた船旅を楽しむ船の事。以前よりリーズナブルに乗船できるようになり、日本人利用客も増えています。
海外では専用のエージェントもあるほどシップナースは人気なんだって!
代表的なクルーズ船会社
ちなみにクルーズ船には、日本の会社と海外の会社があります。
日本のクルーズ船会社
日本のクルーズ船会社は4社で、( )内は運行されている船名です。(2020年11月現在)
- 郵船トラベル株式会社 (飛鳥Ⅱ)
- 商船三井客船株式会社 (にっぽん丸)
- 日本クルーズ客船株式会社(ぱしふぃっくびいなす)
- 株式会社せとうちLTKトラベル(ガンツウ)
海外のクルーズ船会社
代表的な海外のクルーズ船の中には日本に就航していたり、代理店がある会社もあります。( )内は本社所在国。
- プリンセス・クルーズ(アメリカ)
- ロイヤルカリビアンインターナショナル(アメリカ)
- コスタクルーズ(イタリア)
- キュナードライン(アメリカ)
- カーニバルクルーズライン(アメリカ)
- セレブリティクルーズ(アメリカ)
- MSCクルーズ(スイス)
日本の船と人気のプリンセスクルーズ、ロイヤルカリビアンのシップナースについて比べていこう!
シップナースの仕事内容
シップナースの主な仕事内容は日本・海外ともにほぼ違いはありません。
- 体調不良の乗客への対応
- 怪我人の応急処置
- 急患を搬送できる病院を調べて手配
- 船内の薬の管理
- 診察に関わる事務的な処理
- クルー(船員)の健康管理
体調不良の理由としては船酔いが一番多いですが、軽度なケガや病気から緊急のものまで広く対応できる必要があります。
シップナースの勤務時間
日本のクルーズ船と海外のクルーズ船の勤務時間は少し異なります。
海外のクルーズ船は日本の船の3~5倍の規模なので、乗船する看護師の人数も増え交代制の勤務になります。
1隻に対して看護師が1名乗船。
朝8時半から休憩を挟んで1日8時間の勤務。
急病者が出た時には24時間体制で医師と2人で対応。
1隻に対して看護師が4名程度乗船。
プリンセスクルーズ社の場合:9〜12時と15〜18時の診療時間に勤務。診療時間外は当番制のオンコール対応。
ロイヤルカリビアン社の場合:8〜11時と15〜18時の診療時間に勤務。診療時間外は当番制でオンコール対応。
シップナースの給料
日本のシップナースは給料データがないので詳細は不明ですが、月収は約40~50万円です。
実際の求人情報に基づいた給料の例を挙げます。
商船三井客船株式会社
- 契約社員で月給18万円から
- 年間で合計1〜2ヶ月の乗船
プリンセスクルーズ
- USドルで月給$3800 (日本円で約41万円)
- 契約期間は4ヶ月
- 乗船後6〜8週間の休暇
ロイヤルカリビアン
- 月給US$4500以上(日本円で約48万円)
- 契約期間は6ヶ月
- 乗船後8週間程度の休暇
完全な比較はできませんが看護師の給与水準は上回ります。
シップナースに必要な資格
シップナースとして働くのに必要な資格は、日本と海外で要件が違います。
それぞれの応募条件は以下の通りです。
日本の会社の場合
- 看護師経験3年〜5年以上
- 1年以上の救急救命室(ER)、集中治療室(ICU)、心臓系分野の経験必須
- 船舶衛生管理者の資格が必要な場合もある
看護師の場合、船舶に乗り組む衛生管理者の資格試験を受けなくても申請のみで資格を得ることができます。
プリンセスクルーズ社の場合
【応募必須要件】
- 21歳以上である
- 犯罪歴がない
- 有効なパスポートを保有している
- カナダ、またはアメリカの市民でない場合、米国C1もしくはDビザを保有している
- プリンセスクルーズ指定の健康診断証明書を持っている
- 職種に応じて必要な英語力
C1/Dビザとは:アメリカの通過ビザ/クルービザとよばれるもの。アメリカもしくはカナダの国籍ではない人が船員として働くために必要なビザ。ビザ申請費用はUS$160。
【応募必須要件+看護師としての必要条件】
- 救急医療で3年以上の実務経験
- 適切な政府または地方の機関での現在の看護師登録と免許
- ACLS認定
- 英語以外の言語(北京語や日本語など)を話せることはアドバンテージとなる
ロイヤルカリビアンの場合
- ICUで3年以上の勤務経験
- ACLSとBLS認定
- アメリカのどの州でも有効な看護師免許
ACLSとは:Advanced Cardiovascular Life Supportの略称で二次心肺蘇生法のこと。基本となる気道確保・人工呼吸・心臓マッサージと同時に気道確保と除細動、静脈路確保などを行う処置。
外国のクルーズ船では、ナースプラクティショナー(アメリカの上級看護師)の資格を取得している場合採用される確率が上がります。
理由は、看護師よりできる医療行為の幅が広いけど医師を雇うより安価であるからだそうです。
海外のクルーズ船はやっぱり条件がかなり厳しいね…
シップナースに必要な英語力
英語力に関して明確な規定はありませんでした。
しかし、日本の客船でも外国人クルーとコミュニケーションをとる必要があるので、最低でもTOEIC 700点レベルの英語力は必要と考えられます。
外資系の客船では、スカイプでの面接によって英語力が判断されます。
いずれにせよ海外のクルーズ船で働くには、
英語圏での看護師免許が必要なのでネイティブレベルの英語力が必須になります。
シップナースとして働くメリット
シップナースとして働く事のメリットは以下の3つです。
- 世界中を旅できる
- お金が貯まりやすい
- 長期休暇合が取れる
世界中を旅できる
世界中を周遊するクルーズ船に乗船している場合、普段行けないような土地を旅行することができます。世界中の人々に出会うこともできるでしょう。
働きながら様々な国に滞在する事ができるので民間の病院にはない経験ができます。
お金が貯まりやすい
クルーズ船乗船中は食事代や部屋代がかかりません。お酒やタバコにも税が掛からないので安く購入可能です。
長期休暇が取れる
長期間のクルーズ後には1〜2か月の休暇を取ることができます。
また契約社員の場合も4ヶ月の周遊後、2ヶ月の休暇があるのでかなりの長期休暇が約束されています。
シップナースとして働くデメリット
シップナースにもデメリットがあります。
- 途中で帰れない
- 安定はしていない
- 責任重大
途中で帰れない
一度クルーズに出ると最大半年は自宅に帰ることができません。
家族の理解が得られる、しっかりと気持ちの切り替えのできる人でないと辛くなってしまうかもしれません。
安定はしていない
夜勤手当はなく、実質24時間拘束されています。
クルーズ船で働く看護師のほとんどが契約社員のようで、社会保障や収入が安定してるとは言えません。
責任重大
クルーズ船の中ではできる医療行為が限られており、急病者をすぐに病院に搬送できないこともあります。
初期治療によって患者の状態に影響を与えることも考えられます。
旅行しながら看護師ができるとは言ってもやはり気は抜けないですね。
クルーズ船の看護師はどんな人に向いている?
クルーズ船で働くシップナースは、
- 高度な看護技術のある人
- 語学が堪能な人
に向いていると言えます。
高度な看護技術のある人
クルーズ船の旅はあらかじめ旅程が決まっています。
緊急事態の為に予定より早く港に入港したり、出発を遅らせることをできるだけ避けなければなりません。
急病者が出ても搬送できる病院が近くにないこともあります。
急病者の状態が悪化しないよう最大限のケアをする知識と技術が必要とされます。
応募資格に救急医療の経験の記載があるのもそのためです。
語学が堪能な人
クルーズ船には様々な国の人が乗船していて共通語は英語です。(日本国内のみの周遊船は除く)
英語以外を話す乗客もいるので、2言語以上の言葉を話せる人材は採用される可能性が上がります。
特に、中国語・スペイン語・フランス語が需要が高い言語となっています。
最後に:シップナースへの転職は狭き門
日本のクルーズ船で働くには、直接船会社に問い合わせることが必要で、公募されていることもほとんどありません。
- 郵船トラベルでは看護師の公募はしていないようで直接問い合わせる必要があります。
- 商船三井船客では契約社員の募集はされていましたが正社員としての公募があるかは不明です。
求人数が極めて少ないので、各会社のHPを頻繁にチェックするのが一番ですね。
日本にはシップナースだけでなく、看護師+英語を活かせる職場は他にもあるので参考にしてみてください。