看護系技官って初めて聞いたけどどんな仕事で、どのくらい給料もらえるんだろう?
厚生労働省の看護系技官について紹介するよ!
こんな人におすすめ
- 看護や医療、福祉の制度に関心がある人
- 看護師免許を活かして行政で働きたい人
世の中には病院だけでなく、看護師の資格を活かして働ける職場がたくさんあります。
そのうちの1つが国家公務員である看護系技官。
看護師でも聞きなれない職種ですよね。
この仕事はどのような仕事内容で、転職する際のメリット・デメリットは何があるのでしょうか。
看護師の他の働き方に興味がある人は知っておくと将来の選択肢の1つになるかもしれません。
看護系技官とは
看護系技官とは、看護師免許に加え、保健師または助産師免許を持っている技術系行政官のことです。
技官というのは日本における官職の呼び方です。
言葉が難しいけど、簡単にいうと看護系の国家公務員ってことです。
看護系技官が働く場所は、医療や保健・福祉に関係する厚生労働省で、厚生労働省内の中にある20以上の部署内に配置されています。
なぜそこに看護師が必要なのかというと、医療や福祉に関わる、
- 看護行政
- 保健指導
- 医療保険
- 介護保険
- 診療報酬
などの法律を決める際に、実際に現場での経験や問題点を知っている看護師・保健師の意見や考えが必要になるためです。
例えば、厚生労働省の医政局内にある看護課では日本国内の医療や保健、福祉に関係した看護サービスの仕組みを作ったり改善を担当しています。
看護系技官の主な仕事内容
看護系技官の仕事内容は、法律に基づいた看護行政の仕事です。
医療・介護・保険・福祉など部署によって担当する内容は変わり、
- 研究課題の企画立案
- 各事業の進捗管理・評価
- 看護師の教育内容の見直し
- 医療・介護の報酬改定
に分かれています。
看護師として培った技術や知識・経験を基に問い合わせへの対応や会議・検討会に関係する資料の作成や準備なども看護技官の仕事になります。
デスクワーク中心で看護業務は全くありません。
看護・医療の経験を活かして国の仕組みを考え、社会をもっと良くするために働くという感じだね!
民間の病院業務のように定期的な残業や夜勤などはありませんが、行政に関わる仕事の為に国会会期中は忙しく、突発的な業務が入り残業になることもあります。
看護系技官のメリット・デメリット
看護系技官として働くメリットとデメリットは以下の通りです。
- 安定した給料と福利厚生
- 制度の企画や立案に関われる
安定した給料と福利厚生
公務員は昇給が毎年あり、勤続年数が長くなるにつれて給与も上がっていきます。
厚生労働省は、民間の働き方改革を推進している部門でもあるので、育児休業や時短勤務など職員の労働に関わる権利も守られています。
制度の企画や立案に関われる
様々な分野の知識をもった専門職の人たちと協力しながら、自分自身の現場での経験を活かし、社会に必要な政策をつくることに関わることができる仕事は他にありません。
- 地方や海外への転勤
- 看護技術は使えない
地方や海外に転勤
家庭の事情は考慮されるようですが、地方への転勤があり、一つの土地に長く住みたいという人は大変かもしれません。
さまざまな分野での知識や経験が必要なため関係部署内での異動もあります。
1つのことだけに集中したい、環境が変わるのが苦手な人にはデメリットともいえるでしょう。
看護技術は使えない
看護系技官の仕事は厚生労働省での新たな政策を生み出すことで、看護技術を使う事や患者さんとの触れ合いはありません。
看護師の資格を活かして違う職場で働きたいという人、違う職種の人たちと協力して仕事をしていきたい人には適した仕事ですが、看護師本来の医療者としての仕事はほぼありません。
看護系技官の給料・年収は?
看護技官の給料は、月収352,289円です。(諸手当を含む平均額・平均年齢47.1歳)
適用俸給表別、平均年齢、平均俸給額および平均給与月額(2019年4月時点)
国家公務員の給料は人事院規則により『俸給表』によって取り決められており、看護技官は医療職俸給表(三)になります。
俸給表は級と号俸で構成されており、役職や勤続年数が反映されて昇進・昇給していきます。※級⇒役職、号俸⇒勤務年数や功績、能力などを指す。
看護技官の場合、
- 幅広い分野を経験する係長
- 専門性を活かした企画立案を行う専門官
- 企画立案の責任者の室長
- 責任者であり、統率力が求められる課長
というようにキャリアアップしていき、役職に応じて給料も比例します。
基本給に加えて、通勤手当や超過勤務手当などの手当・ボーナスが支給され、年収は550~600万円程になるでしょう。
看護系技官はどんな人に向いている?
看護系技官は以下のような人に向いています。
- 論理的思考ができる
- 柔軟にバランスよく思考できる
- 医療・福祉の制度をより良くしたい
- 協調性がある
医療現場での経験から法律や政策に対して疑問を持ち、それを改善するにはどうしたらよいかというバランスのとれた物事の考え方が必要な仕事です。
医療・福祉などに関係する政策を変えたいという気持ちも持ち合わせていなければいけないでしょう。
社会の問題を解決する情熱はもちろん必要ですが、さまざまな分野の課題に対する論理的な考えや柔軟な発想も看護系技官にとっては重要なスキルとなります。
大きな組織の一員として活動するので、協調性も持ち合わせているとうまく現場に溶け込むことができますね。
看護系技官になるには
看護系技官は応募するためには、看護師・保健師のダブル資格、7年以上の実務経験などが必要とされています。
厚生労働省の採用情報によると、応募資格は
- 日本国籍を有する者
- 看護師免許を取得している者であって、かつ保健師免許又は助産師免許を取得又は取得見込みの者
- 看護系大学を卒業している者又は看護系大学院修了(見込みを含む)の者
- 看護に関する業務(修士課程の期間を含む)経験を採用時点で7年以上有する者
- 看護行政の業務に理解を示し、意欲のある者
となっています。
厚生労働省で働く70名の中に入るには、応募するハードルも少し高めですね。
公務員試験などを受ける必要はありません。
選考方法は、
- 1次試験 小論文「業務経験を踏まえ厚生労働省で取り組みたいこと」800字程度
- 2次試験 個別面接
となっています。(2020年度)
看護技官に興味のある人は年に2回の看護系技官業務説明会やインターンシップも開催されているので実際に仕事内容を体験してみたいという人は参加してみるといいですね。
厚生労働省の採用ページから詳しい情報が見れるので、興味のある方は最新の情報を確認してください。
看護系技官は狭き門だけど今から目指せる
看護大学を卒業した人の多くは看護師や保健師として働き始めます。
看護技官として実際に働いている人達は、最初からこの職に就こうと看護師になった人よりも、看護師や保健師、助産師で働いている間に政策や制度を変えたいという思いから目指す人が多いようです。
現場での経験が7年以上必須なので、新卒は応募することはできません。
募集のタイミングによっては専門的な分野の知識や経験がある認定・専門看護師や大学院修了者が募集要項の要件となる場合もあります。
必須ではありませんが、大学院では看護政策について深く学ぶ機会があるので行政で仕事をしたいと考える人はプランにいれることも考えておくといいでしょう。
国の医療や保健・福祉に関わる制度の創設や改善に取り組みたい人にはやりがいのある職業、看護系技官について紹介しました。
看護系公務員の仕事に興味がある方は、看護師が公務員として働くために知っておきたいことをまとめているのでチェックしてみてくださいね。