治験コーディネーターってどんな仕事なのかな?看護師の経験を活かして働ける?
治験コーディネーターの仕事内容や魅力について解説していくよ!
こんな人におすすめ
- 治験コーディネーターの仕事に興味がある
- ゆっくり人と関われる仕事が知りたい
- 夜勤はしたくないけどお金は稼ぎたい
- 病院以外の環境で働きたい
治験コーディネーターって聞いたことあるけど、どんな仕事なのかよくわからないという看護師さんも多いのではないでしょうか。
治験コーディネーターは看護師の経験を活かして働ける職業の1つです。
看護師としての将来に迷っているなら、人気の治験業界は選択肢の1つになりますよ。
治験コーディネーター(CRC)とは
治験コーディネーター:CRCは、Clinical Research Coordinatorの略で、臨床研究コーディネーターと呼ばれることもあります。
治験コーディネーターは簡単にいうと、治験に関わる準備から終了後までの調整業務をする役割を行います。
具体的には被験者に対して治験の説明を行ったり、治験のスケジュール管理、データの収集や管理などがあります。
被験者=治験に参加して治験薬が実際に投与される人のことだよ。
そもそも治験ってなに?
治験とは、新薬開発の一部です。
薬が販売されるまでには、以下の研究や試験のプロセスを経て約9年~17年間かけて許可されるようになります。
- 基礎研究
- 非臨床試験
- 臨床試験
- 審査
- 許可
①基礎研究の段階では、化学合成物質や植物、土の中の菌、海洋生物などの中から発見された物質で薬に使えそうなものが薬の候補として研究されます。
②非臨床試験で薬の候補となる物質の効果と安全性を動物に投与して調べます。
動物での薬の効果と安全性が確認された後には③の臨床試験に移り、人に使っても安全に効果を得られるのかということを確認します。
これが治験になります。
治験コーディネーターの種類
治験コーディネーター:CRCは所属機関によって2種類に分かれます。
- 治験が行われる病院に所属している⇒院内CRC
- 治験施設支援機関に所属して医療機関に派遣される⇒派遣CRC
派遣CRCが所属する治験施設支援機関は、SMO(Site Management Organizations)と呼ばれます。
院内CRCと派遣CRCのポイントを簡単にまとめると以下のようになります。
- 大学病院などでは正職員が多いが求人数がとても少ない
- 公立病院などでは非正規雇用が多く給料が上がりづらい
- 10年くらいで部署移動があるため再転職もしくは看護師に戻る必要がある
- 転勤の可能性はない
- SMOでは9割以上が正規雇用
- 勤続年数が長くなるにつれて年収アップがしやすい
- 教育制度がしっかりしている
- 管理職では転勤がある
- 外勤手当がつく
院内CRCも派遣CRCも基本的な仕事内容は同じで医療行為は行いません。
教育体制が整っている+正規雇用で年収アップがしやすい派遣CRCが看護師さんには人気だよ!
治験コーディネーターの仕事内容
治験コーディネーターの仕事は、医療機関で治験がスムーズに行われるようサポートすることです。
具体的な仕事内容は治験に関わる、
- 事前準備
- 実施中
- 実施後
の3段階に分けられます。
治験の事前準備段階では以下の4つを実施します。
- 治験薬の知識を得る
- 病院スタッフへの周知
- 被験者の選定
- 被験者との面談
①治験薬の知識を得る
まず初めに、治験コーディネーターは製薬会社の勉強会に参加し、治験薬について勉強します。
②病院スタッフへの周知
治験が実施される病院の部署を訪問して関係する医療スタッフに業務内容や治験薬について説明します。この時に使用する使用の作成も治験コーディネーターの仕事です。
③被験者の選定
治験に参加してくれる被験者を探し、条件を満たす人を見つけたら、面談を設定します。
④被験者との面談
治験に参加する人が見つかったら、医師を交えて治療内容の説明をします。医師の説明を補助したり治験についての専門的な内容を説明するのは治験コーディネーターの仕事になります。
これをインフォームドコンセント(IC)って言うよ!
治験の実施中は、被験者の対応とモニタリングを行います。
被験者の対応
治験コーディネーターは、治験に参加している被験者の診察スケジュールや薬の管理方法の指導を行います。診察に同席し、有害事象が発生していないかをチェックしたり被験者日誌を作成します。
モニタリング
モニタリングとは治験の進行状況を調査し、適切に実施されているか確認する事です。治験の同意書や検査結果を揃えて、治験依頼者をサポートをします。
治験が終了したら症例報告書を作成します。治験に参加した被験者の検査データや副作用の情報をまとめ、製薬会社への報告を行います。
看護師と治験コーディネーターの給料比較
看護師と治験コーディネーターの平均年収は以下の通りです。
- 看護師の平均年収⇒483万円 ※1
- 治験コーディネーターの平均年収⇒470万円 ※2
※1 厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」※2 CRCバンク
未経験から治験コーディネーターに転職した場合は、年収350~400万円とさらに下がります。
治験コーディネーターの方が年収が低いのは、新卒や20代で治験業界に入る人が多い事が理由です。
ちなみに、30代看護師と治験コーディネーターの平均年収のみを比較すると、30代の治験コーディネーターの年収の方が高いことがわかります。
- 30代看護師の平均年収⇒473万円
- 30代治験コーディネーターの平均年収⇒480万円
参考までに、臨床経験2年以上で応募可能な治験コーディネーターの求人を見てみましょう。
治験コーディネーターの年収は、働いている地域や会社の規模・年齢や経験年数によって大きな違いがありますが、将来的に見れば夜勤をしなくても看護師より年収がアップする可能性が十分にあります。
治験コーディネーターに興味のある人は、早めのキャリアチェンジがおすすめです。
看護師から治験コーディネーターになるメリット・デメリット
治験コーディネーターになるメリット
- 働きやすい職場環境
- 新しい分野の知識が得られる
- 1人とじっくり関われる
働きやすい職場環境
社員の半数は女性という治験業界では、女性が長く活躍できる職場環境が整っています。
夜勤もなく、シフトを気にする必要もありません。
自分で計画をして好きな時間に仕事をするフレックスタイム制が導入されている治験施設も多くあります。
新しい分野の知識を得ることができる
治験薬はまだ販売されていない薬であり、新しい薬の成分や作用機序などを知ることができます。
薬について勉強するのが好きな看護師さんには、新しいトレンドを知れる興味深い分野ですね。
勉強会で担当する治験の疾患についても学べるので、疾患についての幅広い知識も身につきます。
一人の人とじっくり関われる
受け落ちの患者さんとゆっくり関わることができない看護師さんも多いのではないでしょうか。
私が看護師の時は、院内CRCが患者さんとコミュニケーションをとっている姿をうらやましく思いました。
治験コーディネーターは1日で2、3人の被験者のみを担当します。
寄り添った看護をしたいという方には対象者と深く関われるのでメリットになります。
治験コーディネーターのデメリット
- 35歳以上は厳しい
- 責任重大
35歳以上は難しい
看護師の場合、社会人になってから看護の道に進む人も多く、あまり年齢は重視されません。
治験業界では、約75%の人35歳までに治験コーディネーターとして入職しています。
35歳前後で役職についている人も多い為、看護師のようにいつでも新しい分野に進めるという訳ではないようです。
責任重大
看護師から治験コーディネーターになっても、命に関わるというプレッシャーから解放されるとは限りません。
被験者が治験実施計画書から逸脱しないように十分に説明したり、有害事象の観察や対応をする必要があります。
治験コーディネーターに向いている人
治験コーディネーターは被験者と深く関わり、ミスなく治験を進めていく必要があるためコンサルテーションスキルのある人や責任感・管理能力がある人が向いていると言えます。
コンサルテーションスキルのある人
治験では、説明によって参加を決める人が多く、わかりやすく簡潔に説明できる能力が求められます。
また治験に参加している人の思いを理解し、引き出すことができる人は被験者との関係構築ができるためスムーズに治験業務を進める事ができます。
責任感と管理能力のある人
治験コーディネーターは治験がスケジュール通りに進むよう長期に渡って被験者を管理する必要があります。
担当している人たちを混同せずミスなく管理しなければいけませんし、適切な報告書を作成する必要もあるので責任感のある人が向いていると言えます。
看護師が治験コーディネーターになるために必要なスキル
看護師から治験コーディネーターになるには以下のスキルを身につけておいた方が有利になります。
- ビジネスマナー
- パソコンスキル
- 英語力
看護師のビジネスマナーやパソコンスキルは一般企業からの転職者と比べると劣ってしまう事があります。
自分で学習したり、面接時に看護師の経験をアピールできることが重要です。
英語力に関しては、治験コーディネーターに必須という訳ではありません。
しかし、英語力が必須な求人もあるので、英語が得意な看護師は就職に有利になります。
例として、都内の求人(年収500万円)はTOEICで600点以上が必須というものもあります。
最近では同じ治験薬が世界中でテストされる『国際共同治験』が多く行われるようになりました。
これによって英語での症例報告書を理解したり、英語で症例報告書を作成する必要が出てきています。
英語を読む・書くという力がある人は日本国内外の試験を担当することができ、キャリアを積むことができるため年収アップも期待できます。
>>看護師に英語の勉強は必要?では看護職での英語の必要性や勉強方法を解説しています。
看護師が治験コーディネーターになるには
治験コーディネーターになるために特別な資格はいりません。
新卒者も看護師からの転職も、治験施設の採用試験に受かれば就職することができます。
しかし、病院に所属する院内コーディネーターの求人はとても少なく、未経験の人が採用される可能性もほぼないので、未経験から目指す場合は、治験施設所属の派遣コーディネーターを目指すのがいいでしょう。
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治験コーディネーターの求人に応募すのは看護師だけではありません。
他の医療職種やビジネスマナーに精通している職業の人も含まれ看護師求人より倍率は高めです。
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看護師を活かせる治験コーディネーターのまとめ
看護師としての疾患の知識やコミュニケーションスキルを活かす事ができる治験コーディネーターについて紹介してきました。
- 治験コーディネーター(CRC)は治験の調整業務をする仕事
- CRCは2種類あるけど未経験からは企業所属の派遣CRCを目指そう
- 看護師経験が活かせる職場だけどキャリアチェンジは早めの行動が◎
- 相談会や面接対策をしてくれるマイナビ看護師は活用できる
看護師が活躍できるのは病院だけではありません。
様々な職業を視野に入れると選択肢が増え、将来の不安も軽減されます。
まずは一歩踏み出すところから始めてみよう!