看護師から保健師に転職したい! 保健師4種類の仕事内容・給料は?

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看護師から保健師に転職したいけど、保健師の働く場所や仕事内容がいまいちわからない…。

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保健師=公務員のイメージが強いけど保健師には4種類あるんだよ!

この記事はこんな人におすすめ

  • 保健師の資格を活かして転職したい
  • 看護師免許しかもってないけど保健師になりたい
  • 看護学生だけど保健師免許は取得しておくべき?

看護師から保健師になりたいけど、仕事内容が分からない、実際にどこで働けるのかがわからないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、保健師の仕事内容や働く場所、給料について解説しています。

これから保健師の免許を取得したいという方にも資格取得方法を解説しているので参考にしてみてください。

そして看護学生や保健師の免許を取りたいという人もこの記事を読むことで保健師免許の取得方法が分かります。

目次

保健師とは

保健師は、保健師国家資格を保有し、地域住民や企業などの団体に対して人々が病気になる事を未然に防ぐ目的で健康管理や保健指導を行う役割を担っています。

保健師助産師看護師法においても、

  • 看護師→病気になった人に対してのケアをする人
  • 保健師→病気にならないよう予防・指導する人

のように役割の違いが定められています。

看護師から目指す保健師は4種類

保健師は働く場所や対象となる人によって4種類に分けられ、仕事内容も変わります。

  1. 行政保健師
  2. 産業保健師
  3. 病院保健師
  4. 学校保健師 

行政保健師

行政保健師は、都道府県や市町村の保健所や保健センターなどの行政機関で働く公務員の保健師です。

保健師の約7割が行政保健師にあたり保健師=公務員のイメージはここからきていますね。

  • 対象者→働いている地域の全住民
  • 主な仕事内容→地域住民の健康維持・増進のための保健指導や対策、相談・支援事業など

保健所では広域的な保健活動を実施しており、主に感染症予防対策事業や精神保健分野に携わっています。

市町村の保健センターではより地域住民の生活に密接な分野となり、母子保健や高齢者への支援・相談事業、健診事業を実施しています。

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赤ちゃんからお年寄り、難病や精神疾患のある住民やを保健や福祉の面からサポートしているんだね!

産業保健師

産業保健師は、一般企業の職員として企業内の健康管理センター(医務室)で働き、従業員の健康維持に関する業務をメインで行います。

  • 対象者→働いている企業の職員全員
  • 主な仕事内容→社員の健康管理、生活習慣病予防の周知、メンタルヘルスケアなど

産業保健師については以下の記事で詳しく解説しています。

病院保健師

病院保健師は、大きな病院や精神科のある病院・訪問看護を取り入れている病院に勤務する事が多いですが、看護師が兼業で行っている場合もあります。

  • 対象者→病院スタッフや患者
  • 主な仕事内容→院内スタッフの健康管理・指導、在宅療養中の患者と病院の調整など

病院内の伝染病対策室に所属し、院内における感染症予防活動を行う役割の病院保健師もいて、働いている病院によって役割は様々です。

学校保健師

学校保健師は、専門学校や大学などの医務室で働く保健師のことで、学校の生徒と教職員を対象とした健康管理とメンタルヘルスケアを行います。

  • 対象者→学校の生徒・教職員
  • 主な仕事内容→応急処置、健康管理、メンタルヘルスケア

保健室の先生のように怪我や体調の悪い生徒の応急処置をしたり、教職員や生徒に向けた疾病予防法の周知なども学校保健師の仕事です。

学校保健師に似た養護教諭(保健室の先生)は教育の側面が強く、子どもの発達心理学や教育についての知識をもっている教員になります。

詳しい違いについては看護師から養護教諭のなり方を参照してください。

保健師が働く場所は?

保健師の働く場所は様々ですが、前述したように全体の約74%が保健所や保健センターなどの地方自治体で勤務しています。

以下は保健師の職場と人数・割合を示した表です。

【就業場所別保健師数】

就業場所就業人数(人)構成割合(%)
保健所8,10015.3%
都道府県1,3512.6%
市町村29,66656%
事業所3,3496.3%
病院3,3076.2%
診療所2,0033.8%
助産所10.0%
訪問看護ステーション2590.5%
介護保険施設等1,3362.5%
社会福祉施設4210.8%
看護師学校等1,1482.2%
その他2,0143.8%
合計52,955100%
引用元:平成30年行政衛生報告例の概状 厚生労働省
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その次に多いのは、病院や診療所で働く保健師で全体の10%ですね。

【就業場所別】保健師の仕事内容

保健師の仕事内容は、疾病予防や相談業務が中心ですが、職場や担当する部署によって異なることもあります。

  • 医療機関
  • 都道府県・保健所
  • 市町村保健センター
  • 企業
  • 介護施設

就業場所別の仕事内容は以下の通りです。

医療機関

医療機関(病院・クリニック・診療所)で働く病院保健師は、院内で働くスタッフと医療機関を受診する患者に対する健康管理や指導を行います。

仕事内容
  • 院内スタッフの健康診断実施
  • メンタルヘルス対策
  • 労働安全衛生
  • 生活習慣病やうつ病気予防の指導
  • 院内の感染症対策室の運営

院内スタッフの生活習慣病予防やメンタルヘルスケアへの取り組みが強化されており、病院保健師の需要も高まっています。

禁煙外来を受診した患者の生活改善指導や退院に向けて入院中の患者と家族の相談に応じて退院後の生活に関する支援をしたり関連機関との調整も行っています。

都道府県・保健所

保健所は都道府県や政令指定都市、中核都市など法的に定められた場所に設置されている施設で公衆衛生活動に関わる業務を行う機関です。

仕事内容
  • 感染症予防対策・啓蒙活動
  • 住民と医療機関の連携・調整
  • 難病・精神疾患の患者や家族に対する支援
  • 障がい者・高齢者への保健サービス

障がいのある人や高齢者への保健サービスや保健医療システムを整えたり、人口の推移や感染症の流行状況からどのような予防や対策が必要なのかを考え実施することも行政保健師の大切な役割です。

保健師の他にも医師や管理栄養士などいろいろな分野の専門家と連携し、人々の健康を管理するための業務を担っています。

市町村の保健センター

地域住民の健康維持・増進を目的に市区町村によって設置されるのが保健センターです。

仕事内容
  • 妊婦の健診や訪問指導
  • 児童虐待予防
  • 地域住民に対する健康診断や保健指導
  • 高齢者と家族に向けた介護予防や認知症予防教室

保健師が中心となり、地域の人たちが健康で過ごせるようなケアを提供しています。

担当する事業によってあらゆる段階の地域住民の健康を守っています。

企業

企業で働く産業保健師は、法律で設置が義務付けられているわけではないので、すべての企業に常駐しているわけではありませんが、大企業を中心に社員の健康を守る役割を担っています。

仕事内容
  • 社員の健康状態の管理
  • 定期健康診断の実施
  • 健診後のフォローアップ面談
  • ストレスチェックの実施
  • 生活習慣病予防周知

近年では職場内でのいじめやハラスメントによるうつや自殺も増えているので企業は特にメンタルヘルスケアに力を入れており保健師は大きな役割を果たしています。

介護施設

デイサービスなどを利用する、比較的自立している人達の介護度が上がらないように適切な健康管理を含めた家族への指導を行います。

仕事内容
  • 介護に関わる相談・支援
  • 介護予防指導
  • 権利擁護事業

他にも施設内の衛生管理をし感染症などが流行しないよう努めています。

看護師から保健師になるメリットとデメリット

看護師が保健師として働く際のメリットとデメリットについて見ていきましょう。

メリット

肉体的に楽

病棟の看護師の仕事は不規則で夜勤もあり完全なる体力勝負です。

保健師の場合、役所・企業・学校は基本的にカレンダー通りのお休みで夜勤もありません。

残業もほぼなくプライベートの時間も確保しやすいと言えます。

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長期間働くなら体力資本じゃない保健師の方が長く働けるね!

直接人の命に関わらない

保健師は予防医学の観点から対象者に関わるため、看護師のような命に関わる状況での対応をすることがありません。

看護師に比べプレッシャーを感じることが少ないのもメリットであると言えます。

看護師より給料が高い

保健師は公務員の場合、初任給は看護師より低めですが、勤続年数が長くなるにつれて基本給が上がります。

大企業に勤務する産業保健師では看護師の1.5倍以上の年収を貰っていることもあり夜勤がなくても看護師の年収を上回るケースも多くなっています。

デメリット

求人倍率が高い

保健師は人気の職業ですが、長期間勤務する人が多い為なかなか求人が出ません。

さらに人口や大企業の少ない地方では必要な保健師の数も少なくなります。

保健師として働きたいのであれば、居住地以外の勤務地を視野に入れて求人を探すことをおすすめします。

モチベーションを保ちにくいことも

保健師の仕事では、目に見えて回復するということは少なく長期的な関わりの中で成果が出る職種です。

対象者からの相談内容が深刻で解決が難しいケースもあり、仕事へのモチベーションが保ちにくいというデメリットもあります。

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保健師にもメリット・デメリットがあるということを覚えておこう!

保健師の年収・給料は?

行政保健師の平均年収は537万円で月の給料は約33万円です。平成30年地方公務員給与実態調査結果の状況より

看護師の平均年収480万円よりも高くなりますが、行政保健師の初任給は約20万円、年収は300万円程度。

経験年数が浅いうちは看護師の方が給料が高い傾向にあります。

その他の保健師の年収はそれぞれ、

  • 産業保健師:年収600万円前後
  • 病院保健師:年収500万円前後
  • 学校保健師は年収450万円前後

となっています。

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勤務形態や場所によって年収は変わるんだね!

保健師に向いている人とは?

コミュニケーション能力のある人

保健師は赤ちゃんからお年寄りまで幅広い年代の人と関わることになります。

地域の人たちが健康に生活できるよう相手の立場になり、わかりやすくアドバイスができる能力が求められます。

また心身に不調や不安を抱えた人たちが悩みを打ち明けやすいように安心感を与えるような態度で接することのできる人が向いていると言えます。

広い視野をもって物事を見れる人

保健師が関わる人の中には様々な種類の問題を抱えていて、人それぞれ状況も違います。

対象となる人の健康を守るためにはどうしたら良いのかを考え、個々の状況やニーズを判断しながら適切な指導やサービスによる介入ができるよう幅広い知識と思いやりが必要になります。

保健師になるために必要な資格

保健師として働くには、保健師の国家試験に合格して保健師免許を取得する必要があります。

しかし、保健師免許は看護師の資格がないと申請できないので、以下の2つの方法で看護師免許の取得を前提にプランを立てましょう。

  1. 看護師+保健師のダブル受験
  2. 看護師免許取得→必要な単位を取得→保健師試験受験
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看護師になるためには看護師養成所や看護学校(専門や大学など)で必要な学科を履修して国家試験に合格する必要があるよ。

ここからは以下の3つの状況から保健師免許を取得する方法について解説します。

  • これから4年制大学で学ぶ
  • 3年制の看護学校に在学中
  • 看護師免許のみを取得している

現在の状況によって保健師免許の取得方法は変わりますので、チャートを参考にしてください。

4年制大学で学ぶ

高校生や看護系以外の学校を卒業した社会人から保健師を目指す1番効率の良い方法は4年制の大学で学ぶことです。

看護師と保健師国家試験のダブル受験を目指し、4年間大学で勉強すれば4年次の2月に看護師と保健師両方の国家試験を受験することができ、合格すれば両方の免許を取得することができます。

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私もダブル受験したけどいけなくはない!

保健師国家試験に合格しても看護師国家試験に不合格の場合は保健師免許を申請することはできません。翌年以降に看護師国家試験に合格してから申請することになりますが、再度保健師国家試験を受験する必要はありません。

3年制の看護学校(専門や短大)の場合

3年生の短大や専門学校で現在勉強している場合は2つのパターンが考えられます。

  1. 保健師養成過程のある看護大学の3年次に編入する 
  2. 卒業してから保健師養成学校に進む

① 保健師養成過程のある大学の3年次に編入する

現在就学している学校で保健師の受験資格を得ることができない場合は、4年制大学の3年目に編入して保健師受験に必要な単位を取得するという方法があります。

取得済み単位によっては、編入後2年間で卒業できない場合も考えられるので、個人で履修単位を確認する必要があります。

2016年度より大学の保健師のカリキュラムが選択制や選抜制に変わり編入生が保健師のカリキュラムを履修することが難しくなってきています。大学院で学ぶことも視野に入れた方が良さそうです。

② 卒業してから保健師養成学校に進む

看護専門学校や短大を卒業し、看護師免許を取得してから保健師養成コースのある学校に入学する方法もあります。

養成コースで必要な単位を納めることで保健師の受験資格を得ることができます。

看護師免許のみを取得している場合

看護師免許をすでにもっている人は上記と同様に保健師養成コースのある学校で1年(取得している単位や学校のカリキュラムによる)学ぶことで受験資格を得ることができます。

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全日制のコースだから働きながらの通学は厳しい!

保健師養成学校の学費総額は年間約150〜200万円程度です。短大は全国で5カ所ですが、複数の専門学校にもコースはあるようです。

看護師から保健師の転職は転職サイトを活用

保健師の求人は人気ですが、求人数が少なく応募がすぐに終了してしまう事が多くなります。

希望条件の求人がでたらすぐに紹介してもらえるよう、看護師転職サイトに登録しておくことをおすすめします。

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看護師転職サイトによって紹介可能な求人が異なります。

看護師の転職サイトの選び方は複数登録が前提なので最低でも2つは登録し、比較しながら転職活動を進めるのが転職成功の近道になります。

保健師にキャリアチェンジする方も臨床経験を活かして働ける求人があるので、まずは転職アドバイザーに相談してみてくださいね。

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